福岡地方裁判所判決 平成17年7月12日

症状固定時69歳の主婦が高次脳機能障害等(1級1号)の後遺障害を負った事案において、近親者、職業介護人の付添費用として合計1億1236万円余を認めた。

       主   文

 1 被告らは,原告X1に対し,連帯して,1億5064万9501円並びに内金1億3764万9501円に対する平成15年12月4日から支払済みまで年5分の割合による金員及び内金1300万円に対する平成14年12月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
 2 被告らは,原告X2に対し,連帯して,330万円及びこれに対する平成14年12月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
 3 被告らは,原告X3に対し,連帯して,550万円及びこれに対する平成14年12月19日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による金員を支払え。
 4 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。
 5 訴訟費用はこれを10分し,その3を原告らの負担とし,その余を被告らの負担とする。
 6 この判決の第1ないし第3項は,仮に執行することができる。

       事   実

第1 当事者の求めた裁判
 1 主位的請求の趣旨
  (1) 被告らは,原告X1に対し,連帯して,2億0515万3598円並びに内金1億8650万3598円に対する平成15年12月4日から支払済みまで年5分の割合による金員及び内金1865万円に対する平成14年12月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
  (2) 被告らは,原告X2に対し,連帯して,1100万円及びこれに対する平成14年12月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
  (3) 被告らは,原告X3に対し,連帯して,1599万3125円及びこれに対する平成14年12月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
  (4) 訴訟費用は被告らの負担とする。
  (5) 仮執行宣言
 2 副位的請求の趣旨
  (1) 被告らは,原告X1に対し,連帯して,2億0162万0907円並びに内金1億7803万3175円に対する平成15年8月16日から支払済みまで年5分の割合による金員及び内金1780万円に対する平成14年12月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
  (2)ないし(4) 主位的請求の趣旨(2)ないし(4)に同じ
 3 請求の趣旨に対する答弁
  (1) 原告らの請求をいずれも棄却する。
  (2) 訴訟費用は原告らの負担とする。
第2 当事者の主張
 1 請求原因
  (1) 交通事故(以下「本件事故」という。)の発生
   ア 発生日時 平成14年12月19日午前6時40分ころ
   イ 発生場所 福岡市西区石丸3丁目5番7号先路上(以下「本件事故現場」という。)
   ウ 加害車両 普通貨物自動車(福岡○○○あ○○○○。以下「被告車」という。)
     運転者  被告Y1
     保有者  被告会社
   エ 事故態様 ① 原告X1は,本件事故現場の交差点を南から北方向に向かって横断するため,対面の歩行者用信号が青になったのを確認した後,横断歩道上を歩行して横断を開始した。
          ② 被告Y1は,被告車を運転して本件事故現場の交差点に差しかかったが,対面信号が赤だったため停止した。その後,対面信号が青に変わったことを確認した後,被告Y1は,被告車を発進させ,右折を開始した。
          ③ 被告Y1は,進路前方の横断歩道上を原告X1が歩行しているにもかかわらず,進路前方の安全確認を怠り,漫然と被告車を進行させ,原告X1に衝突させた。
            この衝突により,原告X1は極めて重篤な傷害を負った。
  (2) 責任原因
   ア 被告Y1は,交差点を右折進行するに際しては,前方の横断歩道上の歩行者の有無及びその安全を十分に確認して走行すべき注意義務があるのにこれを怠り,漫然と被告車を走行させて原告X1に衝突させ,原告X1に極めて重篤な傷害を負わせた過失がある。
     よって,被告Y1は,民法709条に基づき,本件事故により原告らに発生した損害の賠償責任を負う。
   イ 被告会社は,被告Y1の雇用主であり,本件事故は被告会社の業務執行中に発生している。また,被告会社は,被告車の所有者である。
     よって,被告会社は,自動車損害賠償保障法(以下「自賠法」という。)法3条及び民法715条に基づき,本件事故により原告らに発生した損害の賠償責任を負う。
  (3) 傷害の内容及び入通院状況
    原告X1は,本件事故により,開放性頭蓋骨骨折,急性硬膜下血腫,脳挫傷,両肺挫傷の傷害を負い,次のとおり入通院した。
   ア 平成14年12月19日から平成15年1月31日まで(44日間)
     済生会福岡総合病院に入院
   イ 平成15年2月1日から同年5月7日まで(96日間)
     済生会福岡総合病院に通院
   ウ 平成15年2月1日から同年8月15日まで(196日間)
     福岡リハビリテーション病院に通院
   エ 平成15年6月10日から同年8月15日(症状固定日)まで(67日間)
     村上華林堂病院に通院
   オ 通算入院日数44日,通算通院日数196日間,実通院日数44日間
  (4) 後遺障害の内容・等級
   ア 後遺障害の内容
    (ア) 症状固定日(平成15年8月15日)前の検査結果
      CT(平成15年8月15日実施) 左前頭葉・側頭葉に脳挫傷あり
      HDS-R(平成15年7月23日実施) 5/30点
      MMS(平成15年7月18日実施) 7/30点
      WAIS-R(平成15年8月12日実施) VIQ63・PIQ57・TIQ56
      ・ 著明な見当識障害,思考力・判断力の低下,注意障害・構成障害が見られる。
      ・ 言語指示の理解も困難。
      ・ 物の名前を忘れており,漢字の読み書きができない。
      ・ 子供を「お兄ちゃん」と呼び甘えるなど幼児性が顕著。
      ・ 感情の起伏が激しく,我慢ができず,易興奮性が見られる。
      ・ 歩行は不安定で介助(支え)が必要。
      ・ 日常生活全てに介助・監視が必要。
    (イ) 症状固定日(平成15年8月15日)後の検査結果
      MRI(平成16年2月9日) 両側性に(左側にやや強い)軽度の脳室拡大
      MMS(平成16年2月6日実施) 9/30点
      HDS-R(平成16年2月6日実施) 6/30点
      WAIS-R(平成16年2月9.10日実施) VIQ60・PIQ-(52未満)・TIQ53
      ・ 視覚障害があり,WAIS-Rにおいて動作性検査は施行不可。
      ・ 見当識障害,記憶力低下,保続が認められた。
      ・ 換誤困難,錯語があり,失語が疑われる。
   イ 後遺障害等級
     記銘力低下,歩行障害,幼児性が著明で易興奮性あり,関節機能障害等の症状は,本件事故受傷に伴う急性硬膜下血腫並びに脳挫傷等に起因する症状として捉えられることから,自賠法施行令2条別表第一の第1級1号「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し,常に介護を要するもの」に該当する。
  (5) 原告X1の損害
   ア 治療関係費 283万9347円
    (ア) 入通院治療費(済生会福岡総合病院) 29万0040円
    (イ) 通院治療費(福岡リハビリテーション病院) 4万5357円
      原告X1は,済生会福岡総合病院を退院後,リハビリのため,福岡リハビリテーション病院に通院した。
    (ウ) 通院治療費(村上華林堂病院) 9810円
      原告X1は,眼の検査・治療のため,村上華林堂病院に通院した。
      村上華林堂病院における治療費は,9810円である。
    (エ) 入院雑費 6万6000円
      入院雑費は,原告X1の症状が重篤であることから日額1500円が相当であり,入院期間は44日間であるから,入院雑費は,6万6000円となる。
     〔計算式〕1500円×44日=6万6000円
    (オ) 付添看護料 240万円
      原告X1は,重篤な傷害を負ったため,事故発生日以降,毎日付添看護を要する状態であった。本件事故日以降,原告X1の長男である原告X3が付添介護に当たった。
      近親者付添費の日額は,原告X1の傷害が重篤であったことからすれば入通院を問わず1万円が相当である。
      入院期間は44日間,通院期間は196日であるから,症状固定前の付添看護料は240万円である。
     〔計算式〕1万円×(44日+196日)=240万円
    (カ) 通院交通費 2万8140円
      原告X1は,近親者の付添いや通院のため,タクシーを利用した。
      支出したタクシー代は,2万8140円である。
   イ 休業損害 205万8279円
    (ア) 基礎収入 313万0300円
      本件事故前,原告X1は,家事労働に従事し,自分を含めて家族3人の全ての日常生活を取り仕切っていた。公的年金以外の収入はなかった。
      したがって,基礎収入としては,賃金センサス平成14年女子労働者学歴計65歳以上の平均賃金である313万0300円を採用すべきである。
    (イ) 休業期間 240日間
      事故発生日(平成14年12月19日)から症状固定日(平成15年8月15日)までは240日間である。
     〔計算式〕313万0300円×(240日/365日)=205万8279円
   ウ 逸失利益 2224万9546円
    (ア) 基礎収入 313万0300円
      前記イ(ア)のとおりである。
    (イ) 労働能力喪失率 100%
      原告X1の後遺障害等級は自賠法施行令2条別表第一の第1級1号に該当し,労働能力喪失率は100%である。
    (ウ) 労働能力喪失期間 9年間
      原告X1は,症状固定時満70歳であり,平成14年簡易生命表によれば平均余命は18.69年であるから,その2分の1である9年間の労働が可能であった。
    (エ) 中間利息控除(ライプニッツ係数・年5%) 7.1078
     〔計算式〕313万0300円×100%×7.1078=2224万9546円
   エ 将来付添費(介護料) 1億5100万5896円
    (ア) 原告X1は,自賠法施行令2条別表第一の第1級1号に該当する重篤な後遺障害を残しており,高次脳機能障害により著明な見当識障害,思考力・判断力の低下,注意障害・構成障害が見られ,言語による指示を理解することは困難であり,物の名前を忘れており,漢字の読み書きができず,子供を「お兄ちゃん」と呼び甘えるなど幼児性が顕著であり,感情の起伏が激しく,我慢ができず,易興奮性が見られ,歩行は不安定で介助(支え)が必要であり,見当識障害や記憶力低下の保続が認められ,換誤困難,錯語があり,失語が疑われるなどの状況にあるため,日常生活全てに介助・監視が必要な状態である。
    (イ) 現在まで原告X1の介護に当たってきたのは,主に長男である原告X3である。
      夫である原告X2は,原告X1の症状固定時で満71歳という高齢であり,体力的に介護に従事することが困難である。しかも,原告X2は,転倒して大腿骨大転子を骨折したり,膀胱癌のため手術を受けるなど健康に多大な不安がある。このため,原告X2が原告X1の介護に当たるのは不可能である。
      また,原告X3は,「×××」の屋号で印鑑等の小売業を営む自営業者である。本件事故前,原告X3は,定休日である日曜日以外の毎日,午前8時に出勤し,午後8時に帰宅していた。
      このため,日曜日は原告X3が介護に当たることが可能であるが,それ以外の週6日間は,職業介護人による介護が最低1日12時間は必要である。
    (ウ) 現在,原告X1は,日曜日を除く週6日,午前10時から午後3時30分まで,デイサービスセンター橋本にて,デイサービスを受けている。
      それ以外の時間帯(午前10時以前及び午後3時30分以降)は,原告X3が仕事をセーブして時間を捻出し,原告X1の介護に当たっている。
      しかし,いつまでも仕事をセーブしていることはできないから,原告X3は,本件訴訟により十分な賠償を受け,経済的に職業介護人に依頼できる条件が整えば,原告X3の出勤時間からデイサービス開始まで(午前8時から同10時まで)及びデイサービス終了から原告X3の帰宅まで(午後3時30分から同8時まで)の各時間帯は,職業介護人による訪問介護を実施し,その余の時間帯は,原告X3が介護を行う予定である。
      以上を前提とすれば,1月当たりの職業介護人の介護は,サービス単位合計で63726単位である。原告X1は要介護4に該当し,介護保険の支給限度(10%負担部分)が30600単位,100%自己負担部分が33126単位である。保険対象分と全額負担部分を合計すると,月当たりの本人負担額は37万4887円である(1日当たり約1万4418円)。介護保険給付の対象となる部分も自己負担となれば,月66万0201円の費用を要することになる(1日当たり約2万5392円)。
     〔計算式〕6万3726単位×10.36(単価)=66万0201円
          66万0201円÷26日=2万5392円
      なお,職業介護人による介護が行われる平日・土曜日であっても,午後8時から午前8時までは原告X3による介護が必要である。常に原告X1の状態に気を配る必要があるので,原告X3は,夜間といえども気を抜くことはできない。夜間の近親者介護についても現実に介護が行われている以上は介護料が認められるべきであり,日中の勤務により疲労した体で介護に当たることを考慮すれば,日額1万円が相当である。
      よって,介護料の日額は,3万5392円が相当である。
     〔計算式〕2万5392円+1万円=3万5392円
    (エ) 日曜日には,終日,原告X3が原告X1の介護を行う。
      これまでの裁判例では,職業介護人による介護に比べ,近親者の介護費が極めて低く抑えられていることが多い。
      しかし,職業介護人が行う介護も近親者が行う介護も内容は同じである。むしろ,原告X1は幼児性・易怒性が顕著であり,原告X3には甘えたり,我が儘な態度を取るため,近親者介護の方が重労働である。また,原告X3は平日・土曜日の昼間は仕事をし,自宅に帰れば休む間もなく介護に当たる。原告X3は,平日の疲れを癒すべき日曜日に介護に当たらざるを得ないのであり,介護を行うに当たって受ける肉体的・精神的疲労の度合いは,職業介護人の比ではない。
      かかる点を考慮すれば,職業介護人による介護と近親者介護とで介護費に差異を設ける根拠はない。
      よって,近親者介護の日額も3万5392円が相当である。
    (オ) 原告X1は,症状固定時満70歳であり,平成14年簡易生命表によれば平均余命は18.69年であり,18年のライプニッツ係数は11.6895である。
      したがって,症状固定後の介護料は,下記計算式のとおり,1億5100万5896円となる。
     〔計算式〕3万5392円×365日×11.6895=1億5100万5896円
   オ 住宅改造費 1万2300円
     原告X1は,今後の介護生活に必要な住宅改造を行った。住宅改造の内容は,玄関・寝室・廊下・浴室への手摺りの取付けである。
     工事に要した費用は12万3000円であるが,福岡市の福祉・介護保険課からの補助があったため,自己負担額は10%の1万2300円であった。
   カ 器具購入費 2万1294円
     原告X1は,生活に必要な下記の器具を購入した。
    (ア) ケイタイV2(歩行補助車) 1万9152円
    (イ) 安寿ステンレス製浴槽台・安寿背付シャワーベンチ 2142円
      これらの代金は2万1420円であるが,福岡市の福祉・介護保険課からの補助があったため,自己負担額は10%の2142円であった。
    〔計算式〕1万9152円+2142円=2万1294円
   キ 成年後見申立費用 10万円
     原告X1の成年後見手続において,医師の鑑定費用に充てるため,金10万円を家事予納金として支出した。
   ク 慰謝料 3750万円
    (ア) 傷害慰謝料 250万円
      入院期間44日間,通院期間196日間であること,開放性頭蓋骨骨折,急性硬膜下血腫,脳挫傷,両肺挫傷など極めて重篤な傷害を負っていることから,傷害慰謝料としては上記金額が相当である。
    (イ) 後遺障害慰謝料 3500万円
      自賠法施行令2条別表第一の第1級1号に該当する極めて重篤な後遺障害を残していることから,後遺障害慰謝料としては上記金額が相当である。
   ケ 小計 2億1578万6662円
   コ 既払額及び充当計算
    (ア) 既払額
     (a) 治療費 32万3487円
       治療費のうち済生会福岡総合病院の28万6130円,福岡リハビリテーション病院の3万7357円,合計32万3487円は,被告会社が契約するA(株)により支払われている。
      〔計算式〕28万6130円+3万7357円=32万3487円
     (b) 仮払金
       原告X1は,仮払金として,
        平成15年1月17日 20万円
        平成15年2月24日 20万円
        平成15年3月25日 35万円
        平成15年4月28日 20万円
        平成15年5月21日 30万円
        平成15年7月9日  25万円
        平成15年8月15日 36万円
      を受領した。
     (c) 自賠責保険金
       原告X1は,平成15年12月3日,自賠責保険金として3743万円を受領した。
    (イ) 充当計算
     (a) 治療費
       A(株)から各病院に支払われた金員は,治療費の元本に充てられたものであり,元本に充当することに黙示の合意があったと考えられる。
       したがって,32万3487円を元本に充当した後の損害額合計は,2億1546万3175円となる。
      〔計算式〕2億1578万6662円-32万3487円=2億1546万3175円
     (b) 自賠責保険金
       自賠責保険金及びその他の仮払金は,民法491条により,まず既発生の遅延損害金に充当され,その残額が元本に充当される。
     (c) 充当計算の結果,未払損害額は1億8650万3598円となる(別紙「充当計算表1」参照)。
   サ 弁護士費用 1865万円
     原告X1は,原告ら訴訟代理人に対し,未払損害額1億8650万3598円の約10%に当たる1865万円の弁護士着手金・報酬を支払う旨約した。
   シ 最終損害額 2億0515万3598円
  (6) 確定遅延損害金(予備的主張) 179万4589円
   ア 自賠責保険からの給付分(確定遅延損害金)
    (ア) 原告X1の主たる主張は,既述のとおり,自賠責保険金は,民法491条により,まず既発生の遅延損害金に充当され,その残額が元本に充当されるというものである。
      万一,この主張が認められなかった場合,原告X1は,自賠責保険金が全額元本に充当されることを前提に,予備的に確定遅延損害金の支払を求める。
    (イ) 自賠責保険金が全額元本に充当された場合の損害金元本は1億7803万3175円である。
     〔計算式〕2億1578万6662円-32万3487円-3743万円=1億7803万3175円
      また,仮払金を充当計算した後の残元本は1億7803万3175円であり,未収損害金は399万3143円である(別紙「充当計算表2」参照)。
      この場合,弁護士費用は10%の1780万円であるから,未払損害額は1億9583万3175円である。
     〔計算式〕1億7803万3175円+1780万円=1億9583万3175円
    (ウ) 原告X1は,平成15年12月3日,自賠責保険金として3743万円を受領した。
      この自賠責保険金については,本件事故発生日から支払日まで,民法所定の年5分の割合による遅延損害金が発生している。原告X1は,被告らに対し,この確定遅延損害金の支払請求権を有している。
      事故日から支払日までは350日間であり,確定遅延損害金の額は179万4589円である。
   イ 残損害賠償金
     残損害賠償金について,原告X1は,被告らに対し,事故発生日より支払済みまでの遅延損害金を請求できる。
   〔副位的請求の趣旨記載額〕
     1億9583万3175円+399万3143円+179万4589円=2億0162万0907円
  (7) 近親者の損害
   ア 原告X2 1100万円
    (ア) 慰謝料 1000万円
      原告X1は,本件事故により自賠法施行令2条別表第一の第1級1号という死にも比肩すべき重篤な後遺障害を残した。原告X2は原告X1の夫であり,本件事故により被った精神的苦痛は著しいから,その慰謝料は1000万円が相当である。
    (イ) 弁護士費用 100万円
      原告X2は,原告ら訴訟代理人に対し,1000万円の10%に当たる100万円の弁護士報酬を支払う旨約した。
   イ 原告X3 1599万3125円
    (ア) 休業損害 454万3125円
     (a) 原告X3は,「×××」の屋号で印鑑等の小売業を営んでいた。
       しかるに,本件事故により原告X1が重篤な傷害を負い,その付添看護に携わらざるを得なくなったため,十分に事業に注力できなくなった。
       このため,平成14年の所得は276万6787円であったにもかかわらず,平成15年の所得は177万6338円の赤字となっており,差額の454万3125円の所得差が生じている。
     (b) 付添看護料は,付添いに対する労力の対価であり,近親者が休業した場合に生じる損害のてん補を目的としたものではない。特に,原告X3は,自営業者であり,将来の所得にも影響が及ぶであろうから,休業損害を別途認める意義があるというべきである。
     (c) 原告X3には,少なくとも事故後1年分について休業損害が生じており,454万3125円が休業損害として認められるべきである。
    (イ) 慰謝料 1000万円
      原告X1は,本件事故により自賠法施行令2条別表第一の第1級1号という死にも比肩すべき重篤な後遺障害を残した。本件事故後,現実に原告X1の介護をしてきた原告X3の精神的苦痛は著しく,その慰謝料は1000万円が相当である。
    (ウ) 弁護士費用 145万円
      原告X3は,原告ら訴訟代理人に対し,1454万3125円の10%に当たる145万円の弁護士報酬を支払う旨約した。
  (8) まとめ
    よって,
   ア 原告X1は,被告らに対し,民法709条(被告Y1),民法715条及び自賠法3条(被告会社)に基づく損害賠償請求として,連帯して,
   〔主位的請求〕
     2億0515万3598円並びに内金1億8650万3598円に対する最終弁済日の翌日である平成15年12月4日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金及び内金1865万円に対する平成14年12月19日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金
   〔副位的請求〕
     2億0162万0907円並びに内金1億7803万3175円に対する最終弁済日の翌日である平成15年8月16日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金及び内金1780万円に対する平成14年12月19日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金
   イ 原告X2は,被告らに対し,民法709条(被告Y1),民法715条及び自賠法3条(被告会社)に基づく損害賠償請求として,連帯して,1100万円及びこれに対する平成14年12月19日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金
   ウ 原告X3は,被告らに対し,民法709条(被告Y1),民法715条及び自賠法3条(被告会社)に基づく損害賠償請求として,連帯して,1599万3125円及びこれに対する平成14年12月19日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金
   をそれぞれ支払うよう求める。
 2 請求の原因に対する認否
  (1) 請求原因(1)(交通事故の発生)の事実は認める。
  (2) 同(2)(責任原因)は認める。
  (3) 同(3)(傷害の内容及び入通院状況)のうち実通院日数は不知,その余の事実は認める。
  (4) 同(4)(後遺障害の内容・等級)のうち,症状固定日後の検査結果は不知,その余は認める。
  (5) 同(5)(原告X1の損害)のうち,
   ア(治療関係費)のうち,入通院治療費及び通院交通費の金額は認め,その余は争う。
   イ(休業損害)のうち休業期間は認め,その余は不知ないし争う。
   ウ(逸失利益)は争う。
   エ(将来付添費(介護料))は争う。
     原告ら主張の職業付添人の費用を将来の介護費用算定の基礎とすることは,必ずしも適切な将来の介護費用の算定とはいえない。今後介護保険の給付割合や保険適用の範囲が変更されれば,介護ビジネスにも様々な影響があり,付添い以外の介護サービスや廉価で利用できる介護施設等が充実すれば,職業的付添いよりもそちらを選択することも考えられ,介護産業が発展し,介護の内容,程度による料金体系の細分化や合理化も考えられるところである。
     また,近親者による介護は,介護のプロとして専門的サービスを供給する職業的介護との質的差異があることは否定できず,金額に差はあることはやむを得ないというべきである。
   オ(住宅改造費)ないしキ(成年後見申立費用)は不知。
   ク(慰謝料)及びケ(小計)は争う。
   コ(既払額及び充当計算)のうち既払額は認め,その余は争う。
   サ(弁護士費用)及びシ(最終損害額)は争う。
  (6) 同(6)(確定遅延損害金[予備的主張])は争う。
  (7) 同(7)(近親者の損害)のうち,
   ア(原告X2)については慰謝料及び弁護士費用のいずれも争う。
   イ(原告X3)のうち,休業損害は不知ないし争い,その余は争う。

       理   由

第1 請求原因(1)(交通事故の発生)は,当事者間に争いがない。
第2 請求原因(2)(責任原因)は,当事者間に争いがない。
   以上によれば,被告らは連帯して,本件事故により原告らが被った後記損害を賠償する責任を負う。
第3 請求原因(3)(傷害の内容及び入通院状況)中,実通院日数を除いては,当事者間に争いがない。
   甲第5号証の2,第6号証の1,2,第9号証によれば,原告X1の実通院日数は,次のとおり合計43日と認められる。
 1 済生会福岡総合病院
   4日(平成15年2月1日から同年5月7日まで)
 2 福岡リハビリテーション病院
   36日(平成15年2月1日から同年8月15日(症状固定日)まで)
 3 村上華林堂病院
   3日(平成15年6月10日から同年8月15日(症状固定日)まで)
第4 請求原因(4)(後遺障害の内容・等級)は,甲第10ないし第13,第35号証及び原告X3本人尋問の結果により認める。
第5 請求原因(5)(原告X1の損害)について
 1 治療関係費 235万9347円
  (1) 入通院治療費(済生会福岡総合病院) 29万0040円
    当事者間に争いがない。
  (2) 通院治療費(福岡リハビリテーション病院) 4万5357円
    当事者間に争いがない。
  (3) 通院治療費(村上華林堂病院) 9810円
    当事者間に争いがない。
  (4) 入院雑費 6万6000円
    日額1500円を相当と認める。
    通算入院期間は,請求原因(3)(傷害の内容及び入通院状況)アのとおり,44日間である(当事者間に争いがない。)。
    よって,入院雑費は,6万6000円となる。
   〔計算式〕1500円×44日=6万6000円
  (5) 付添看護料 192万円
   ア 入院付添費 35万2000円
     甲第4,第34号証の1ないし3,第52号証及び原告X3本人尋問の結果によれば,原告X1は,本件事故により急性硬膜下血腫,脳挫傷,開放性頭蓋骨骨折,両肺挫傷といった重篤な傷害を負い,意識レベルは搬入時でJCS(ジャパン・コーマ・スケール)100(刺激しても覚醒しない状態,痛み刺激に対し,払いのけるような動作をする)であったが,その後回復に向かい,退院時にはJCS1(刺激しなくても覚醒している状態,大体意識清明だが,いまひとつはっきりしない)まで回復したが,入院中は夜間の不穏が強く,看護師に対する暴行・暴言等があったため,平成15年1月21日から退院までは個室を使用し,原告X3が24時間態勢で付添いをしなければならなかったことが認められる。
     以上によれば,原告X1は,入院期間(44日間)を通じて,近親者の付添いを要したものといえ,その付添費としては,日額8000円を相当と認める。
    [計算式]8000円×44日=35万2000円
   イ 退院後の付添費 156万8000円
     甲第6号証の1ないし3,第10ないし第12,第35,第52号証及び原告X3本人尋問の結果によれば,原告X1は,退院後も著明な見当識障害,思考力・判断力の低下,注意障害・構成障害が見られ,言語指示の理解も困難であり,物の名前を忘れており,漢字の読み書きができず,子供を「お兄ちゃん」と呼び甘えるなど幼児性が顕著であり,感情の起伏が激しく,我慢ができず,易興奮性が見られ,歩行は不安定で介助(支え)が必要であり,日常生活全般に介助・監視が必要な状態であったことが認められる。
     以上によれば,原告X1は,退院の翌日(平成15年2月1日)から症状固定日(平成15年8月15日)までの196日間,近親者の付添介護を要したものといえ,その付添費として,日額8000円を相当と認める。
    [計算式]8000円×196日=156万8000円
  (6) 通院交通費 2万8140円
    当事者間に争いがない。
 2 休業損害 205万8279円
  (1) 基礎収入 313万0300円
    甲第15号証の1ないし4,第52号証及び原告X3本人尋問の結果によれば,本件事故前,原告X1は,夫である原告X2及び長男である原告X3の3人で生活し,家事労働に従事していたものであり,公的年金以外の収入はなかったものと認められる。
    したがって,基礎収入としては,賃金センサス平成14年女子労働者学歴計65歳以上の平均賃金である313万0300円を相当と認める。
  (2) 休業期間 240日間
    事故発生日(平成14年12月19日)から症状固定日(平成15年8月15日)までは240日間である。
  (3) よって,休業損害は,205万8279円となる。
   〔計算式〕313万0300円×(240日/365日)=205万8279円
 3 逸失利益 2224万9546円
  (1) 基礎収入 313万0300円
    前記2(1)のとおりである。
  (2) 労働能力喪失率 100%
    原告X1は,本件事故により自賠法施行令2条別表第一の第1級1号に該当する後遺障害を負ったものであり,その労働能力の100パーセントを喪失したものと認められる。
  (3) 労働能力喪失期間 9年間
    原告X1は,症状固定時満70歳であり,平成14年簡易生命表によれば平均余命は18.69年であるから,その2分の1である9年間の労働が可能であったと認められる。
  (4) 中間利息控除(ライプニッツ係数・年5%) 7.1078
  (5) よって,逸失利益は,2224万9546円となる。
   〔計算式〕313万0300円×100%×7.1078=2224万9546円
 4 将来付添費(介護料) 1億1236万6954円
  (1) 前記第5の1(5)のほか,甲第10ないし第12,第17ないし第20号証,第32号証の1,2,第35,第46,第47号証,第48号証の1ないし3,第49,第52号証,原告X3本人尋問の結果及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。
   ア 原告X1は,重篤な高次脳機能障害のため,日常生活において,
    (ア) 洗顔の際,自発的に手で水を汲むことができない。また,顔を拭くこともできない。動作の指示が必要。
    (イ) 入れ歯洗浄剤の使い方を理解できない。毎回,袋を開ける・水の入った容器に入れる・入れ歯を入れるという行動を指示する必要がある。
    (ウ) 少しでも自分が思った通りにできない状況になると,イライラして急に怒り始める。また,感情の浮き沈みが激しく,前触れもなく怒り出したり,泣き始めることがある。
    (エ) 夜中にトイレに行くときには,便器の中に手を入れ,底に貯まっている水で手を洗ったりするなど,訳の分からない行動をする。
    (オ) 記憶力に障害があり,自分の住所・年齢さえも覚えられない。同じデイサービスの利用者のことを覚えていられない。主治医を覚えていない。その日に,デイサービスで何をしたのかさえも覚えていない。
    (カ) 1桁の足し算さえもできない。
    (キ) 現時点では誰も入っていない墓の前で,「じいちゃん(実父),Bやん(実姉)。X1とC(実兄)が来たで,守ってや」と言う。福岡と徳島の区別ができていない。長男である原告X3のことを実兄のCと思っている。
    などの異常を示しており,日常生活全てに介助・監視が必要な状態である。
   イ 本件事故後,現在まで,主に長男である原告X3が原告X1の介護に当たってきている。
     原告X3は,「×××」の屋号で印鑑等の小売業を営む自営業者であり,本件事故前,休日である日曜日以外の毎日,午前8時に出勤し,午後8時に帰宅していた。
   ウ 現在,原告X1は,日曜日を除く週6日,午前10時から午後3時30分まで,デイサービスセンター橋本(月・水・金の各曜日)及びリハモール福岡(火・木・土の各曜日)に通所し,デイサービスを受けている。それ以外の時間帯(午前10時以前及び午後3時30分以降)は,原告X3が仕事をセーブして時間を捻出し,原告X1の身体介助・監視を行っている。
     しかし,原告X3の介護負担は大きく,負担軽減の必要性があり,また,原告X3もいつまでも仕事をセーブしているわけにはいかないので,原告X3は,本件事故につき十分な賠償を受け,経済的に職業介護人に依頼できる条件が整えば,原告X3の出勤時間からデイサービス開始まで(午前8時から同10時まで)及びデイサービス終了から原告X3の帰宅まで(午後3時30分から同8時まで)の各時間帯は,職業介護人による訪問介護を実施し,それ以外の時間帯は,原告X3が介護を行う予定である。
   エ 以上を前提とすると,1月当たりの職業介護人の介護は,サービス単位合計で63726単位である。原告X1は要介護4に該当し,介護保険の支給限度(10%負担部分)が30600単位,100%自己負担部分が33126単位である。保険対象分と全額負担部分を合計すると,月当たりの本人負担額は37万4887円である(1日当たり約1万4418円)。介護保険給付の対象となる部分も自己負担となれば,月66万0201円の費用を要することになる(1日当たり約2万5392円)。
    〔計算式〕6万3726単位×10.36(単価)=66万0201円
       66万0201円÷26日=2万5392円
  (2) 以上を前提に,介護費用の日額につき判断する。
   ア デイサービス・職業介護人による訪問介護の費用
     実際に要する実費全額を損害と認めるべきであり,また,未だ支給が確定していない将来の介護保険給付(予定)額は控除すべきでないから(最高裁平成5年3月24日大法廷判決・民集47巻4号3039頁参照),前記(1)エの日額2万5392円を相当と認める。
     この点,被告らは,今後介護保険の給付割合や保険適用の範囲が変更されれば,介護ビジネスにも様々な影響があり,付添い以外の介護サービスや廉価で利用できる介護施設等が充実すれば,職業的付添いよりもそちらを選択することも考えられ,介護産業が発展し,介護の内容,程度による料金体系の細分化や合理化も考えられる旨主張する。しかしながら,予測される原告X1の生存期間である今後十数年の間に,各種介護サービスがより廉価で利用できるようになる具体的な見込みが存することを認めるに足りる証拠はなく,現時点で利用可能な介護サービスを使用する場合に実際に要する実費を基礎として将来の介護費用を算定せざるを得ないというべきである。
   イ 近親者付添費
    (ア) 日曜日
      前記認定の原告X1の状態に照らし,原告X3による介護負担は大きいものであることを考量すれば,デイサービス・職業介護人による訪問介護が利用できない日曜日については,近親者付添費として,日額8000円を相当と認める。
      この点,原告らは,職業介護人による介護と近親者介護とで介護費に差異を設ける根拠はない旨主張する。しかし,近親者による介護は,介護のプロとして専門的サービスを供給する職業的介護との質的な違いがあることは否定できず,金額に差があることはやむを得ないものというべきである。
    (イ) 平日・土曜日
      1日当たり,デイサービスが行われる時間帯(午前10時から午後3時30分までの5時間30分)及び職業介護人による訪問介護が行われる時間帯(午前8時から同10時までと午後3時30分から同8時までの計6時間30分)を除く12時間につき,原告X3による介護が必要であるから,その近親者介護費としては,日額4000円を相当と認める。
  (3) 原告X1は,症状固定時満70歳であり,平成14年簡易生命表によれば平均余命は18.69年であり,18年のライプニッツ係数は11.6895である。
  (4) 以上によれば,将来付添費(介護料)の総額は,1億1236万6954円となる。
   〔計算式〕(2万5392円+4000円)×365日×6/7×11.6895=1億0749万0763円
       8000円×365日×1/7×11.6895=487万6191円
       1億0749万0763円+487万6191円=1億1236万6954円
 5 住宅改造費 1万2300円
   甲第23,第24号証及び弁論の全趣旨より認める。
 6 器具購入費 2万1294円
   甲第25,第26号証の各1,2及び弁論の全趣旨により認める。
 7 成年後見申立費用 10万円
   甲第27号証及び弁論の全趣旨により認める。
 8 慰謝料 3000万円
  (1) 傷害慰謝料 200万円
    入院期間44日間,総通院期間196日間であること,開放性頭蓋骨骨折,急性硬膜下血腫,脳挫傷,両肺挫傷など極めて重篤な傷害を負っていることから,傷害慰謝料としては上記金額を相当と認める。
  (2) 後遺障害慰謝料 2800万円
    原告X1は,自賠法施行令2条別表第一の第1級1号に該当する後遺障害を残していることから,後遺障害慰謝料としては上記金額を相当と認める。
 9 小計
   損害額(下線部)の合計は,1億6916万7720円である。
 10 既払額及び充当計算
  (1) 既払額
    当事者間に争いがない。
  (2) 充当計算
   (a) 治療費
     原告らは,治療費32万3487円を元本に充当することを認めている。
     上記金額を元本に充当した後の損害額合計は,1億6884万4233円となる。
   〔計算式〕1億6916万7720円-32万3487円=1億6884万4233円
   (b) 自賠責保険金
     自賠責保険金によって損害の一部がてん補された場合,てん補された部分についての不法行為時から自賠責保険金の支払日までの遅延損害金を請求しうる(最高裁平成12年9月8日第二小法廷判決・金融法務事情1595号63頁等)。
     したがって,自賠責保険金は,別段の合意のない限り,民法491条の法定充当により,まず既発生の遅延損害金に充当され,その残額が元本に充当されることとなる。
   (c) また,その他の仮払金も同様に,まず既発生の遅延損害金に充当され,その残額が元本に充当される。
   (d) 充当計算の結果,未払損害額は,別紙「充当計算表3」のとおり,1億3764万9501円となる。
 11 弁護士費用 1300万円
   本件事案の内容,審理の経過その他一切の事情を考慮した。
 12 最終損害額(別紙「損害額計算表」参照) 1億5064万9501円
第6 請求原因(7)(近親者の損害)について
 1 原告X2 330万円
  (1) 慰謝料 300万円
    原告X1は,本件事故により自賠法施行令2条別表第一の第1級1号に該当する重篤な後遺障害を残したものであり,その夫である原告X2の被った精神的苦痛も大きいものといえ,その慰謝料は300万円が相当である。
  (2) 弁護士費用 30万円
    上記金額を相当と認める。
 2 原告X3 550万円
  (1) 休業損害 0円
    原告X3が仕事を休んで原告X1に付き添ったことによる休業損害額を,近親者付添費とは別個に認めることは,損害を二重に評価するものといわざるを得ない。したがって,原告X3の休業損害は認められない。
  (2) 慰謝料 500万円
    原告X1は,本件事故により自賠法施行令2条別表第一の第1級1号に該当する重篤な後遺障害を残したものであり,長男である原告X3は,現実に原告X1の介護の負担を抱えることになり,その精神的苦痛は著しいものといえ,その慰謝料は500万円が相当である。
  (3) 弁護士費用 50万円
    上記金額を相当と認める。
第7 結論
   以上によれば,
 1 原告X1の本訴請求は,被告らに対し,1億5064万9501円並びに内金1億3764万9501円(弁護士費用を除いた額)に対する最終弁済日の翌日である平成15年12月4日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金及び内金1300万円(弁護士費用に相当する額)に対する事故日である平成14年12月19日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める限度で理由があるからこれを認容し,その余は理由がないからこれを棄却することとし,
 2 原告X2の本訴請求は,被告らに対し,330万円及びこれに対する平成14年12月19日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める限度で理由があるからこれを認容し,その余は理由がないからこれを棄却することとし,
 3 原告X3の本訴請求は,被告らに対し,550万円及びこれに対する平成14年12月19日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める限度で理由があるからこれを認容し,その余は理由がないからこれを棄却することとし,訴訟費用の負担につき民訴法61条,64条本文,65条1項本文を,仮執行宣言につき同法259条1項をそれぞれ適用して,主文のとおり判決する。
    福岡地方裁判所第6民事部
           裁判官  川崎聡子

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