東京地方裁判所判決 平成19年5月30日

症状固定時22歳の女性大学生が遷延性意識障害の後遺障害を負った場合において、傷害分306万円の慰謝料、本人分3000万円、父母各300万円の後遺障害分の慰謝料を認めた。

       主   文

 1 被告らは,原告X1に対し,各自1億8742万204円及びこれに対する平成11年12月30日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
 2 被告らは,原告X2及び原告X3に対し,各自各330万円及びこれに対する平成11年12月30日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
 3 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。
 4 訴訟費用は,原告X1と被告らとの間では,これを7分し,その4を同原告の負担とし,その余を被告らの負担とし,原告X2と被告らとの間では,これを5分し,その2を同原告の負担とし,その余を被告らの負担とし,原告X3と被告らとの間では,これを5分し,その2を同原告の負担とし,その余を被告らの負担とする。
 5 この判決は,第1項および第2項に限り,仮に執行することができる。

       事   実

第1 当事者の求めた裁判
 1 請求の趣旨
 (1)被告らは,原告X1に対し,各自4億5420万8595円及びこれに対する平成11年12月30日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
 (2)被告らは,原告X2及び原告X3に対し,各自各550万円及びこれに対する平成11年12月30日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
 (3)訴訟費用は被告らの負担とする。
 (4)仮執行宣言
 2 請求の趣旨に対する答弁
 (1)原告らの請求をいずれも棄却する。
 (2)訴訟費用は原告らの負担とする。
第2 当事者の主張
 1 請求原因
 (1)事故の発生
    原告X1(昭和53年○月○○日生まれ。以下「原告X1」という。)は,次の交通事故(以下「本件事故」という。)に遭った。
     日時    平成11年12月30日午後10時19分ころ
     場所    東京都世田谷区
     加害車両  大型貨物自動車(群馬○○あ○○○○。以下「被告車両」という。)
     運転者   被告Y1(以下「被告Y1」という。)
     事故の態様 原告X1は,青信号に従い自転車に乗って横断歩道を横断していたところ,被告車両に衝突された。
 (2)責任原因
   ア 被告Y1は,自動車の運転者として,信号表示に従って進行すべき注意義務があるのにこれを怠り,対面信号が赤色を表示しているのを看過した結果,本件事故を発生させたから,民法709条に基づき,原告X1らが本件事故により被った損害を賠償すべき責任を負う。
   イ 被告Y1は,本件事故の当時,被告株式会社Y2(以下「被告会社」という。)の従業員であり,その業務執行中であったから,被告会社は,民法715条に基づき,原告X1らが本件事故により被った損害を賠償すべき責任を負う。
 (3)本件事故による被害の程度
   ア 傷病名
     原告X1は,本件事故の結果,右急性硬膜下血腫,頭蓋骨骨折,脳挫傷等の傷害を負った。
   イ 治療経過
     原告X1は,前記傷害を治療するため,平成11年12月30日から平成14年3月31日までの間国立病院東京医療センター(以下「東京医療センター」という。)に,同年4月1日から6月4日までの間河北リハビリテーションセンターに,同年8月6日から平成16年11月9日までの間自動車事故対策機構千葉療護センター(以下「千葉療護センター」という。)にそれぞれ入院した。
   ウ 後遺障害
     原告X1は,前記傷害について,平成12年11月3日に症状が固定したところ,遷延性意識障害,四肢麻痺等の後遺障害が残った。
 (4)損害
   ア 原告X1の損害
   (ア)治療費 2165万163円
     a 症状固定時までの分 1690万7340円
     b 症状固定後の分 474万2823円
       東京医療センターにおける入院治療費並びに河北リハビリテーションセンター(平成14年4月から6月まで)及び千葉療護センター(同年8月から平成15年9月まで)における入院リハビリテーション治療費である。
       原告X1は,症状固定後も,頭部受傷の影響で硬膜外水腫,皮下膿瘍,硬膜外膿瘍などが発症し,その治療のための手術を余儀なくされ,けいれん発作の心配が絶えず,けいれん止めの投薬は現在も欠かすことができない。また,原告X1のような極めて重篤な意識障害を伴う障害を負った者には,医療機関の指導によるリハビリテーションが不可欠である。このように,原告X1は,症状固定後であっても,その症状の内容,程度,施された治療内容に照らすと,症状の悪化を防ぎ,在宅介護を可能にする程度にまで症状を改善するための治療あるいはリハビリテーションが必要である。
   (イ)入院雑費その他雑費の実費等 35万8972円
   (ウ)看護交通費 325万3160円
      原告X2(以下「原告X2」という。)及び原告X3(以下「原告X3」という。)は,原告X1の父母であり,原告X1が入院中,付添看護のために通院したところ,交通費及び病院駐車料金として325万3160円を支払った。
   (エ)付添看護費 465万円
      原告X1は,症状が固定するまでの310日間,絶えず原告X2及び原告X3による付添看護が必要であったから,本件事故と相当因果関係のある付添看護費は,次の計算式のとおり465万円となる。
      1万5000円×310日=465万円
   (オ)将来介護費 2億5660万6560円
      原告X1は,前記後遺障害の内容及び程度によると,日常的動作を全く行うことができない状態が生涯継続するから,近親者又は職業付添人による介護を必要とする。
      したがって,原告X1は,症状固定日の平成12年11月3日(当時22歳)から死亡(余命63年)に至るまで,少なくとも1か月54万円の介護費用(1日当たり1万8000円)及び1か月6万円の療養雑費の合計60万円が必要である。
      60万円×12か月×35.6398(控除利息を2パーセントとするライプニッツ係数)=2億5660万6560円
   (カ)家屋改造費 890万6980円
      原告X1の自宅は,2階建てであるところ,1階部分は原告X2の母が居住し,2階部分において,原告X1が原告X2及び原告X3とともに生活しており,原告ら家族の生活と原告X2の母の生活とは全く別個のものとなっている。
      そこで,原告X1は,前記後遺障害の結果,自宅の2階部分について,車いすでの移動,入浴時における付添人の介護などが可能となるよう様々な場面で改造を必要としたことから,その費用として890万6980円を支出した。
   (キ)エレベーターの取替費用 723万円
      原告X1は,自宅の前記改造によりエレベーターを設置したところ,その耐久年数は20年であり,余命63年間に少なくとも3回は取替えが必要であって,その費用は723万円である。
   (ク)エレベーターの保守点検費用 154万6132円
      エレベーターの保守点検費用に1か月3675円(消費税を含む。)を必要とするから,エレベーターの保守点検について契約を締結した平成14年5月12日から原告X1の余命61年間について,ライプニッツ方式で中間利息(控除利息2パーセント)を控除して,本件事故と相当因果関係のある保守点検費用の原価を計算すると,次の計算式のとおり154万6132円となる。
      3675円×12か月×350597≒154万6132円
   (ケ)自動車購入費 558万200円
      原告X1は,前記後遺障害の結果,車いすでの移動を余儀なくされ,外出する際には,車いす搭載仕様の車両を購入する必要があるところ,その購入費用は279万100円であり,余命63年間に2台の買換えが必要である。
      279万100円×2回=558万200円
   (コ)車いす購入費 643万3803円
      原告X1は,前記のとおり車いすによる生活を余儀なくされるところ,車いす購入費用として1台55万717円,入浴時のシャワーキャリー購入費用として1台16万4150円の合計71万4867円が必要であり,余命63年間に9台の買換えが必要である。
   (サ)逸失利益 1億3359万3102円
      原告X1は,本件事故の当時,21歳の大学生であり,本件事故に遭わなければ症状固定時の22歳から少なくとも45年間は就労可能であったところ,前記後遺障害の結果,その労働能力を100パーセント喪失した。
      そこで,平成13年の賃金センサス第1巻第1表産業計・企業規模計・学歴計・女子大卒全年齢平均年収453万100円を基礎とし,ライプニッツ方式で中間利息(控除利息2パーセント)を控除して,本件事故と相当因果関係のある逸失利益を計算すると,次の計算式のとおり1億3359万3102円となる。
      453万100円×29.4901≒1億3359万3102円
   (シ)入院慰謝料 306万円
   (ス)後遺障害慰謝料 3000万円
   (セ)学費 23万1000円
      原告X1は,本件事故の結果,それまで通学していた大学の休学を余儀なくされ,休学料23万1000円の負担を強いられた。
   (ソ)弁護士費用 4100万円
   イ 原告X2及び原告X3の損害
   (ア)慰謝料 各500万円
      原告X2及び原告X3は,本件事故の結果,心身共に健康で将来を嘱望されていた長女の原告X1が前記後遺障害を負うこととなり,その生命が断たれた場合と比肩し得べき精神的苦痛を被った。
      また,原告X2及び原告X3は,原告X1を絶えることなく介護していなければならない身となり,それに伴う精神的苦痛も計り知れない。
   (イ)弁護士費用 各50万円
 (5)まとめ
    よって,被告らに対し,民法709条,715条に基づき,各自,
   ア 原告X1は,前記損害から弁済を受けた7075万8411円を控除した残額4億5420万8595円及びこれに対する不法行為の日である平成11年12月30日から支払済みまで同法所定の年5分の割合による遅延損害金の各支払を,
   イ 原告X2及び原告X3は各550万円及びこれに対する同日から支払済みまで同法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を
   それぞれ求める。
 2 請求原因に対する認否
 (1)請求原因(1)ないし(3)は認める。
 (2)ア(ア)a 請求原因(4)ア(ア)aは認める。
     b 同bのうち,474万2823円を支出したことは認め,本件事故との相当因果関係は否認する。
       症状固定後の治療費であり,本件事故と相当因果関係はない。
   (イ)同(イ)は認める。
   (ウ)同(ウ)のうち,原告X2及び原告X3が原告X1の父母であることは認め,その余は否認ないし争う。
      少なくとも症状固定時までは,原告X1が入院していた病院が完全看護であること,むしろ原告X1の病状からすれば完全看護である必要性が大きいこと,診断書には付添看護を要した期間の記載がないことからすると,家族の付添いに要した費用は,本件事故と相当因果関係がない。
   (エ)同(エ)は否認ないし争う。
   (オ)同(オ)は否認ないし争う。
      原告X1の介護は,現在,在宅において母親,デイサービスセンター等により行われているし,介護保険等を利用することにより,その経費は相当程度抑えられる可能性がある。
      また,中間利息の控除は,民法所定の年5分の割合によるべきである。
   (カ)同(カ)ないし(ク)は否認ないし争う。
      本件建物の1階構造と2階構造の平面はほぼ同様であり,1階に住むのが原告X2の実母,原告X1の祖母であることからすると,原告X1の部屋を1階にすることも十分可能であり,少なくともエレベーターの設置は不要である。
   (キ)同(ケ)及び(コ)は否認ないし争う。
   (ク)同(サ)のうち,原告X1が,本件事故の当時,21歳の大学生であり,本件事故に遭わなければ症状固定時の22歳から少なくとも45年間は就労可能であったところ,前記後遺障害の結果,その労働能力を100パーセント喪失したことは認め,その余は争う。
   (ケ)同(シ)及び(ス)は否認ないし争う。
   (コ)同(セ)は知らない。
   (サ)同(ソ)は否認ないし争う。
   イ 同イは否認ないし争う。
第3 証拠関係
   本件訴訟記録中の書証目録の記載を引用する。

       理   由

 1 請求原因(1)ないし(3)(本件事故の発生,責任原因,本件事故による被害の程度)について
   請求原因(1)ないし(3)の各事実は,いずれも当事者間に争いがない。
 2 請求原因(4)(損害)について
 (1)同ア(原告X1の損害)について
   ア 治療費 2165万163円,
   (ア)症状固定時までの分 1690万7340円
      請求原因(4)ア(ア)(治療費)a(症状固定時までの分)の事実は,当事者間に争いがない。
   (イ)症状固定後の分 474万2823円
      請求原因(4)ア(ア)b(症状固定後の分)のうち,原告X1が474万2823円を支出したことは,当事者間に争いがなく,証拠(甲11,26)及び弁論の全趣旨によると,この治療費474万2823円は,リハビリテーションに係る費用であることが認められるところ,前示した原告X1の後遺障害の部位,程度等に照らすと,原告X1のリハビリテーションは,必要性,相当性があるというべきであり,それに要した費用についても本件事故との間に相当因果関係を認めるのが相当である。
   イ 入院雑費その他雑費の実費等 35万8972円
     請求原因(4)ア(イ)(入院雑費その他雑費の実費等)の事実は,当事者間に争いがない。
   ウ 看護交通費 55万8000円
     請求原因(4)ア(ウ)(看護交通費)のうち,原告X2及び原告X3が原告X1の父母であることは,当事者間に争いがない。
     そして,後にエにおいて判示するとおり,症状固定までの310日間につき原告X2又は原告X3のいずれか1名による付添看護の必要性,相当性が認められるところ,証拠(甲13,19)及び弁論の全趣旨によると,自宅と東京医療センターとの間の1回の往復につき交通費1800円を認めるのが相当であるから,本件事故と相当因果関係のある看護交通費は,次の計算式のとおり算出される55万8000円を認めるのが相当である。
     1800円×310日=55万8000円
   エ 付添看護費 201万5000円
     証拠(甲13,19,26)及び弁論の全趣旨によると,原告X2及び原告X3は,原告X1(昭和53年○月○○日生まれ)の入院中,症状固定までの310日間につき付添看護をしたことが認められるところ,前示した原告X1の傷害の部位,程度,年齢等に照らし,原告X2又は原告X3のいずれか1名による付添看護の必要性,相当性が認められるというべきであり,本件事故と相当因果関係のある付添看護費は,次の計算式のとおり算出される201万5000円を認めるのが相当である。
     6500円×310日=201万5000円
   オ 将来介護費 9137万6631円
     前示事実関係に証拠(甲11,22ないし26)及び弁論の全趣旨を総合すると,原告X1は,昭和53年○月○○日生まれの女子であり,本件事故の結果,右急性硬膜下血腫,頭蓋骨骨折,脳挫傷等の傷害を負い,平成12年11月3日(当時22歳)に症状が固定したところ,遷延性意識障害,四肢麻痺等の後遺障害が残存し,常時介護が必要な状態にあること,原告X1は,症状固定後,平成16年11月9日(当時26歳)までは河北リハビリテーションセンター及び千葉療護センターに入院し,その後は自宅において母である原告X3(昭和28年○月○日生まれ)により介護されていること,原告X3は,夫である原告X2その他の家族のための家事労働にも従事していること,社会福祉法人世田谷ボランティア協会の紹介による職業介護人の料金は,1時間当たり2000円ないし3000円であること,原告X1は,平成18年4月から6か月までの3か月間に介護雑費として8万1467円(X1介護雑費明細(26)(甲23)における合計額9万2492円からエレベーター点検費用を差し引いた金額)を支出したことが認められる。
     以上によると,本件事故と相当因果関係のある将来介護費等は,①介護費として,症状固定後入院していた4年間につき1日当たり6500円を,自宅において介護を受け始め原告X3が67歳になる平成32年(原告X1の年齢は42歳)までの期間につき1日当たり1万円を,それ以降の期間(平成12年簡易生命表によると,22歳女子の平均余命は,63.12年である。)につき1日当たり1万8000円をそれぞれ基礎とするとともに,②雑費として,症状固定後入院していた4年間につき1日当たり1500円を,それ以降の期間につき1月当たり2万7000円をそれぞれ基礎として,次の計算式のとおり算出した9137万6631円を認めるのが相当である。
     なお,交通事故による被害者の将来の逸失利益を現在価額に換算するために控除すべき中間利息は,民法所定の年5分の割合によるべきである(最高裁平成16年(受)第1888号平成17年6月14日第三小法廷判決・民集59巻5号983頁参照)ことに照らし,将来介護費等将来の費用を現在価額に換算するために控除すべき中間利息についても同様に考えるべきである。
     6500円×365日×35460+1万円×365日×(12.4622-3.5460)+1万8000円×365日×(19.0751-12.4622)≒8440万3768円
     1500円×365日×35460+2万7000円×12月×(19.0751-35460)≒697万2863円
     8440万3768円+697万2863円=9137万6631円
   カ 家屋改造費 600万円
     前示事実関係に証拠(甲7,10,26)及び弁論の全趣旨を総合すると,原告X1は,本件事故による後遺障害の結果,常時介護を必要とし,車いすによる移動を容易にするなどのために,原告X1の自宅の2階部分(原告X1の自宅は2階建てであるところ,本件事故の当時,1階部分は原告X2の母親が居住し,原告X1は,原告X2,原告X3らの家族とともに2階部分において生活していた。)への移動のためにエレベーターを設置する(エレベーター工事の費用は241万円)ほか,2階部分のトイレ,子供部屋,居間,洗面所,浴室等を改造することを余儀なくされ,1016万1480円を支払い,自宅の所在する東京都世田谷区から125万4500円の補助を受けたことが認められ,これらの改造等によって原告X1と同居する家族らが利便性の向上を受ける部分のあることは否定し難いことをも考慮すると,本件事故と相当因果関係のある家屋改造費は,600万円を認めるのが相当である。
   キ エレベーターの取替費用 137万9243円
     前示事実関係に証拠(甲26)及び弁論の全趣旨を総合すると,原告X1は,自宅に設置したエレベーターを20年ごとに(平均余命の間に3回)取り替える必要のあることが認められるから,本件事故と相当因果関係のあるエレベーターの取替費用は,次の計算式のとおり算出される137万9243円を認めるのが相当である。
     241万円×(0.3768+0.1420+0.0535)≒137万9243円
   ク エレベーターの保守点検費用 83万7026円
     前示事実関係に証拠(甲8,20,26)及び弁論の全趣旨を総合すると,原告X1は,平成14年5月12日,自宅に設置したエレベーターについて,フジテック株式会社との間で,点検契約を締結し,毎月3675円を支払っていることが認められ,本件事故と相当因果関係のある保守点検費用は,次の計算式のとおり算出される83万7026円を認めるのが相当である。
     3675円×12月×18.9802(平成14年からの余命61年に対応するライプニッツ係数)≒83万7026円
   ケ 自動車購入費 363万2431円
     前示事実関係に証拠(甲17,26)及び弁論の全趣旨を総合すると,原告X1は,平成16年,遠方への移動手段として,車いす搭載仕様の自動車を代金279万100円で購入したところ,余命(平成16年の時点で約59年)の間に2回の買替えの必要があることが認められ,本件事故と相当因果関係のある自動車購入費は,次の計算式のとおり算出される363万2431円を認めるのが相当である。
     279万100円×(1+0.2429+0.0590)≒363万2431円
   コ 車いす購入費 235万6201円
     前示事実関係に証拠(甲9,18,26)及び弁論の全趣旨を総合すると,原告X1は,本件事故による後遺障害の結果,車いすによる移動を余儀なくされ,平成14年,車いすを購入して55万717円を支払うとともに,平成15年,入浴時のシャワーキャリーを購入して16万4150円を支払ったこと,これらの車いす等の耐久年数は7年であり,原告X1の余命の間に8回の買替えが必要であることが認められ,本件事故と相当因果関係のある車いす購入は,次の計算式のとおり算出される235万6201円を認めるのが相当である。
     (55万717円+16万4150円)×(1+0.7106+0.5050+0.3589+0.2550+0.1812+0.1288+0.0915+0.0650)≒235万6201円
   サ 逸失利益 7972万3948円
     請求原因(4)ア(サ)(逸失利益)のうち,原告X1が,本件事故の当時,21歳の大学生であり,本件事故に遭わなければ症状固定時の22歳から少なくとも45年間は就労可能であったところ,後遺障害の結果,その労働能力を100パーセント喪失したことは,当事者間に争いがなく,本件事故と相当因果関係のある逸失利益は,賃金センサス平成12年第1巻第1表による産業計・女性労働者・大卒・全年齢平均年収額を基礎とし,中間利息をライプニッツ方式で控除して,次の計算式のとおり算出した7972万3948円を認めるのが相当である。なお,前示のとおり,交通事故による被害者の将来の逸失利益を現在価額に換算するために控除すべき中間利息は,民法所定の年5分の割合によるべきである。
     448万5400円×17.7741≒7972万3948円
   シ 入院慰謝料 306万円
     前示した原告X1の受傷の部位,程度,入院経過その他諸般の事情を考慮すると,原告X1が主張する入院慰謝料306万円は,本件事故と相当因果関係があるというべきである。
   ス 後遺障害慰謝料 3000万円
     前示した後遺障害の内容,これに伴う日常生活への影響,本件事故の態様,被告Y1の過失の態様,程度等を考慮すると,原告X1が主張する後遺障害慰謝料3000万円は,本件事故と相当因果関係があるというべきである。
   セ 学費 23万1000円
     請求原因(4)ア(セ)(学費)の事実は,証拠(甲26,27)及び弁論の全趣旨により認められる。
   ソ 弁護士費用 1500万円
     以上の損害額を合計すると,2億4317万8615円となるところ,原告X1は,7075万8411円の損害のてん補を受けたことを自認しており,これを前示損害額から控除すると,1億7242万204円となる。
     弁論の全趣旨によると,原告X1は,本件訴訟の提起及び追行を訴訟代理人に委任し,相当額の費用及び報酬の支払を約束していることが認められるところ,本件事案の性質,審理の経過,認容額その他諸般の事情を考慮すると,原告X1が本件事故と相当因果関係のある損害として賠償を求めることができる弁護士費用は,1500万円が相当である。
 (2)同イ(原告X2及び原告X3の損害)について
   ア 慰謝料 各300万円
     前示のとおり,原告X2及び原告X3は,原告X1の父母であるところ,原告X1の前示後遺障害によりその死亡に比肩するような精神的苦痛を受けたということができ,本件事故の態様,被告Y1の過失の態様その他本件における一切の事情を考慮すると,原告X2及び原告X3の精神的苦痛を慰謝するにはそれぞれ300万円が相当である。
   イ 弁護士費用 各30万円
     弁論の全趣旨によると,原告X2および原告X3は,本件訴訟の提起及び追行を訴訟代理人に委任し,相当額の費用及び報酬の支払を約束していることが認められるところ,本件事案の性質,審理の経過,認容額その他諸般の事情を考慮すると,原告X2及び原告X3が本件事故と相当因果関係のある損害として賠償を求めることができる弁護士費用は,各30万円が相当である。
 3 結論
   よって,原告らの請求は,被告らに対し,各自,原告X1につき1億8742万204円,原告X2につき330万円,原告X3につき330万円及びこれらに対する不法行為の日である平成11年12月30日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度においていずれも理由があるから認容し,その余はいずれも失当であるから棄却し,訴訟費用の負担につき民訴法61条,94条本文,65条1項本文を,仮執行の宣言につき同法259条1項をそれぞれ適用して,主文のとおり判決する。
    東京地方裁判所民事第27部
           裁判官  小林邦夫

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