仙台地方裁判所判決 平成19年2月9日

症状固定時45歳の主婦が心房破裂による心房縫合,腹壁瘢痕ヘルニア,腸閉塞等(5級3号),胸椎圧迫骨折(11級7号,併合4級)の後遺障害を負った場合において、傷害分440万円の慰謝料,後遣障害分1800万円の慰謝料を認めた。

       主   文

 1 被告は,原告に対し,金1億1022万4895円及びこれに対する平成6年3月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
 2 原告のその余の請求を棄却する。
 3 訴訟費用はこれを10分し,その8を被告の負担とし,その余を原告の負担とする。
 4 この判決は,第1項に限り仮に執行することができる。

       事実及び理由

第1 請求の趣旨
   被告は,原告に対し,金1億3674万0435円及びこれに対する平成6年3月22日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2 事案の概要
   本件は,被告の運転する車両に衝突された車両に同乗していたために傷害を負った原告から,被告に対して,民法709条に基づく損害賠償を請求している事案である。
   交通事故の態様及び責任割合(被告の過失100%)についての争いはなく,事故と相当因果関係のある後遺症の内容及び程度,損害額が争点である。
 1 争いのない事実及び証拠によって明らかな前提事実
  (1) 交通事故の発生(以下「本件事故」という。)
   ① 日時 平成6年3月21日(以下「本件事故日」という。)
     午後4時20分頃
   ② 場所 秋田県能代市鳥屋場45番地2先路上(以下「本件現場」という。)
   ③ 加害車両 普通貨物自動車(車両番号秋田○○さ○○○○,以下「加害車両」という。)
   ④ 被害車両 普通乗用自動車(車両番号秋田○○ほ○○○○,以下「被害車両という。)
   ⑤ 態様 被告の脇見運転により対向車線に飛び出した加害車両が,被害車両の前走車両に衝突した上,更に後続してきた被害車両(原告の夫が運転し,原告及び娘が同乗する車両)に衝突した。
  (2) 責任
    本件事故は,被告の脇見運転による加害車両のセンターラインオーバーにより惹起されたものであるから,被告は,原告に対し民法709条に基づく損害賠償責任を負う。
  (3) 原告の本件事故に基づく後遺症の固定日は平成16年1月20日であり,原告は,後遺症について自賠法所定の後遺障害等級併合第4級の認定を受けている。
 2 当事者の主張
  (1) 原告
    原告は,本件事故により,「右房穿孔,心タンポナーデ,胸骨骨折,右血胸,汎発性腹膜炎,小腸破裂穿孔,右腎損傷,左血胸,第12胸椎圧迫骨折等」の怪我を負い,本件事故日から平成16年1月20日までの間,通算して,420日入院(そのうち32日は外泊期間)し,803日通院(そのうち150日以上は1日に2以上の診療科目を受診)することを余儀なくされた。
    本件事故日以降における原告の入,通院状況は,別紙「入通院明細書」記載のとおりである(甲5と同様のもの)。
    また,症状固定日は,前記のとおり,平成16年1月20日であり,後遺症の程度に関しては,平成17年7月6日に自賠責後遺障害等級併合4級の認定がなされている。
    本件事故に基づく原告の損害額中,本件訴訟において原告の請求する額及びその内訳については,別紙損害計算書1の1記載額から既払額500万円を控除した残額である。
  (2) 被告
   ① 入院,通院期間について
     原告の入院期間は388日であり,外泊許可分は入院期間から除外されるべきである。
   ② 別紙損害計算書1の2記載の損害に関する認否及び抗弁
    ア 別紙損害計算書1の2の「自己負担分の治療費(3万9310円)」は認める。
    イ(ア) 別紙損害計算書1の2の「入院雑費(58万8000円)」中,38万5000円を越える部分は否認する。
     (イ) 弁済の抗弁
       前記のうち,28万5600円は支払った(乙59,60)。
    ウ 別紙損害計算書1の2の「未払いの通院交通費(11万円)」は,認める。
    エ 別紙損害計算書1の2の「その他費用(26万9320円)」は認める。
    オ 別紙損害計算書1の2の「症状固定後の治療費」は,否認する。
    カ(ア) 別紙損害計算書1の2の「入・通院付添費(143万2500円)」は,争う。
     (イ) 弁済の抗弁
       被告は,職業的付添人の分として,31万8752円を支払った(乙61ないし68)。
    キ 別紙損害計算書1の2の「休業損害①(1445万6000円)」「同②(1939万5133円)」について,合計3103万5675円を超える部分は争う。
      原告は,平成7年3月16日中通リハビリ病院を退院した後は,ほとんどすべて日常生活動作を行うことができるようになったのであり,それらに非常な努力を要したとしても,少しずつ家事もできるようになっていったものであり,同9年10月頃には20パーセント以上の家事等はなし得るようになっていたものと推認される。
    ク 別紙損害計算書1の2の「傷害慰謝料(1000万円)」について,344万円を越える部分は争う。
    コ 別紙損害計算書1の2の「後遺障害逸失利益(4687万6444円)」について,2683万2381円を越える部分は争う。
      なお,後遺症の逸失利益の算定に関し,不法行為のときから10年以上を経過している本件に関しては,中間利息の控除の始期は症状固定時からではなく不法行為のときからとされるべきである。被告主張の算定式は以下のとおりである。
      4025万2598円(症状固定時の逸失利益現価)×0.6666
    サ 別紙損害計算書1の2の「後遺障害慰謝料」について,1500万円を超える部分は,争う。
    シ 別紙損害計算書1の2の「将来の治療費」については,争う。
    ス 別紙損害計算書1の2の「父母がAを育てた養育料」は,争う。
      実質的に原告の休業損害と重複しており,同損害に対する賠償によって評価済みである。
    セ 弁護士費用
      争う。
    ソ 既払金について
      被告は,既に,原告に対して,合計560万4352円を支払った。
第3 争点に対する判断
   当事者間に争いのない事実に加えて,本件証拠(甲1ないし7,甲8の1及び2,甲9の1ないし6,甲10,11の各1及び2,甲12,乙1ないし53,乙58,乙59ないし乙68,原告本人尋問の結果〈但し,後掲認定に反する部分は除外する。〉)及び弁論の全趣旨により認められる事実は以下のとおりである。
 1 原告の受傷,治療経過及び後遺障害について
  (1) 本件事故の際の態様及び原告の症状,治療経過について
   ① 本件事故の態様
     本件事故日,原告は,一人娘と共に夫の運転する車両に同乗して,秋田県の原告の実家から青森県黒石市(原告の当時の住居所在地)に帰省する途上で本件事故に遭遇したが,原告の夫には過失がなく,本件事故は専ら,脇見運転をして対向車線に飛び出した加害車両の運転手の落ち度に起因するものであった。
   ② 原告の受傷に対する診断名及び入,通院状況
     原告は,本件事故後,秋田県能代市所在の秋田県厚生農業協同組合連合会山本組合総合病院(以下「山本組合病院」という。)に搬送され,同年5月16日に秋田市所在の中通総合病院に転院し,同病院のほか秋田中通リハビリ病院や小川病院を受診し,同7年4月17日以降は山形県酒田市所在の山形県立日本海病院(以下「日本海病院」という。)に,同11年4月以降は東北公済病院に転院したが,その間における原告の入院,通院状況は,別紙のとおりであり(甲5記載のとおり),原告の受診科は,整形外科,外科,心臓外科,泌尿器科,胃腸科及び内科である。
     本件事故による原告の診断名は,「右房穿孔,心タンポナーデ,胸骨骨折,右血胸,汎発性腹膜炎,小腸破裂穿孔,右腎損傷,左血胸,第12胸椎圧迫骨折等」というものであり,原告は,これら治療のため,本件事故日から平成16年1月20日までの間,合計420日入院(但し,うち32日分は外泊)し,合計803日通院(そのうち150日以上は1日に2以上の診療科目を受診)することを余儀なくされた。
   ③ 本件事故前の原告の生活状況,入,通院期間中の家族及び近親者の生活状況
     本件事故前,原告は家庭の主婦として家事に従事しており,夫と娘(小学校低学年,以下「A」という。)と共に暮らしていた。
     原告には,歯科衛生士としての資格や就労経験があったため,将来的には資格をいかして再び就労したいという意欲や希望を有していた。
     原告は,本件事故による入,通院のためにAを養育,監護することができなくなったため,平成7年4月に原告が退院して親子3人が一緒に暮らせるようになるまでの間(合計376日間)両親にAを預けて養育監護してもらったが,原告の介護や孫の養育のため,原告の父親(元看護士)は仕事を辞めることになり,原告の母親も仕事を休むなどして協力をしていた。
   ④ 症状固定日及び後遺症,その後の治療状況
    ア 原告の症状固定日は,平成16年1月20日であり,後遺症の程度に関しては,平成17年7月6日,後遺障害併合第4級と認定されているが,胸部外傷後の傷害については,心房破裂による心房縫合,小腸穿孔部縫合,腹壁瘢痕ヘルニア,腸閉塞,神経因性膀胱等の所見,症状から,「胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し,特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの」として同等級第5級3号に,第12胸椎圧迫骨折については第2腰椎に圧迫骨折による変形の残存があることから,「背骨(せき柱)に変形を残したもの」にあたるとして同等級第11級7号に認定され,等級併合の結果り(ママ),併合第4級と認定された(甲9の2ないし6)。しかし,のどから下腹部にかけて残存している瘢痕については認定の対象外とされた。
    イ 原告は,平成16年1月20日以降も東北公済病院(内科,整形外科,泌尿器科,心臓外科),東京都立府中病院(外科,泌尿器科)のほかに,東北キネシオ接骨院,むさし整骨院,きくち接骨院等へ通院しているが,後遺障害診断書によれば,担当医は,保存的に症状が軽快せず悪化した場合には開腹術,腸癒剥離術,場合によっては腸切除術等が必要になる,定期的に外来に通って投薬を受けて症状の軽減を図っているとしており,6か月ないし1年毎にエックス線,超音波,CT検査等が必要である旨診断している(甲9等)。
      これら担当医の所見や,本件証拠に認められる原告の症状経過,生活態様に照らす限り,原告の場合には,症状固定後であっても,定期的な通院や検査,投薬等の処置や経過観察を行うことによって,便意や尿意のコントロールはもとより前記のような体の痛みなど諸症状の緩和が図られており,今以上の症状悪化を防ぐための保存的療法としてそれら検査や通院等の処置が必要であって,それらが損害の拡大を防ぐものとして機能しているものであることが認められる。
    ウ 症状固定日後の原告の体の具合は,以下のとおりである。
     ① 心窩部から恥骨に至る腸壁瘢痕ヘルニアがあるため,胆嚢結石症などと相まって腹痛の原因となっていると診断されており,日常的に腹痛があり,原告の言葉によれば,「上腹部がもやもやする感覚」に苛まれたり,胸部の痛み,息苦しさ,腹部の張りや嘔吐感に襲われることが多く,一時に食べることのできる食事の量も限られる一方,空腹になると不快感や腹痛を伴いがちであり,そのような症状が出た場合には,通院しないまでも室内で横になって安静にしていない限り苦痛を伴う状況にある。
     ② 神経因性膀胱のため排尿が困難となっており,日に10回以上も尿意を覚えることがあるが,1回あたりの尿量や尿勢は少なく残尿があるし,便通も悪く,日常的に下剤を服用することによって便意と便通を継続的にコントロールする必要がある。
     ③ のど元から下腹部にかけて,長さ約48.5センチ程のV字形状にえぐれた傷跡が縦走しており,瘢痕とファスナー,服地等が接触すると痛みが走るし,真夏であっても襟元のあいた洋服を選ぶことはできず,傷が人目に立たないように襟元の詰まった着衣を着用することを余儀なくされている。また,臍や腹部の形状は,原告と同年齢程度の女性の腹部とは異なり,滑らかさが感じられず,でこぼこした様相を呈している。それら傷以外にも,原告の腹部にはドレーン挿入の創瘢痕が3か所残損(ママ)しており,それら瘢痕はその態様からして今後も消失ないし軽快する可能性は窺われない。
     ④ せき柱の変形等により,背中や腰を曲げることが困難であり,しゃがむ,屈む,背中を反らせるといった姿勢を伴う行為をすることは難しい。
       そのため,足を横にして座る,下に置かれた物を腰をかがめて拾う,ひとりで掃除機をかける,入浴中の前屈姿勢(洗髪等),風呂やトイレ掃除,布団の上げ下ろしやゴミ出し,重い荷物を抱えること等はできない,椅子に座らない限りはズボンや靴下をはくこともできないし,体のバランスがとれないため和式トイレは使用困難であり,出先での手洗い使用が制約されている。
       また,同じ姿勢を長くとり続けたり,歩くことが困難であることから,椅子に座る,正座する,筆記等といった行為は短時間しかすることができないし,会合や外出先で腰掛ける必要がある場合には出かける前に予め座薬を投与しておかなければならない。
       このような状態は原告の体の器質的異常に起因しており,その程度からして将来に不具合が軽快する可能性は薄い。
 2 そこで,これら認定事実に基づいて,以下具体的な損害額について検討する。
  (1) 当事者に争いのない費目について
    別紙計算書1の2記載の費目のうち,以下のものは争いがない。
   ① 自己負担分の治療費 3万9310円
   ② 未払いの通院交通費 11万円
   ③ その他費用 26万9320円
  (2) 別紙計算書1の2記載の入院雑費について (58万8000円)
    原告の症状や治療経過に鑑みると,外泊期間合計32日分をも含め420日間の入院期間中を通じて,入院雑費として日額1400円を認めるのが相当というべきであるから,その額は58万8000円となる。
    算定式 1400円×420日=58万8000円
    なお,被告は,入院雑費中28万5600円については支払済であるとしているが,乙59,乙60はいずれも原告の夫に対する支払いを証するものであって原告の入院雑費として支払われたものがあるのか否かは不明瞭であり,他にその支払いを裏付け得る証拠はない。
    したがって,原告の主張どおり,58万8000円を認める。
  (3) 入,通院付添費について (141万2500円)
    甲5,甲7及び本件弁論の全趣旨等によれば,原告の入院,通院期間中,原告の夫,原告の父母及び姉妹,原告の義弟及び義妹らが原告を付添,看護したこと及びその日数が通算して282.5日になることが認められる。
    したがって,原告の受傷内容やその症状及び治療経過に照らす限り,原告の請求日数中,Aの付添に要した4日間を除く合計282.5日分については,日額5000円の割合による付添費用を認めるのが相当である。
    算定式 282.5日×5000円=141万2500円
  (4) 症状固定後の治療費 (11万3490円)
   ① 前記認定のとおり,症状固定後における治療は,症状の悪化による損害の拡大を防止するための保存的療法として機能しており,その必要性が認められるところ,接骨院や整骨院の費用に関しても原告の症状経過,症状固定後の後遺症の様相に照らす限り,必要性が認められるから,これらに要した費用11万3490円(甲6記載のNo.14の(1)ないし(73)まで)を認めるのが相当である。
   ② 将来の治療費 (116万669円)
     後遺症診断書の所見や後遺症の程度,症状固定後の原告の身体状況を考慮すれば,症状の悪化を防ぎ現状を維持するため,定期的な通院や検査(血液検査や超音波検査等)の受検,下剤等の投薬が必要であり,整骨院等の施術も機能しているものと解される。前記のとおり原告の身体状況がこれ以上改善される見込みは薄いことからすれば,本件原告に関しては,平成18年時における47歳女性の平均余命(39年)期間を前提として,前記症状固定後の治療費に基づく1か月あたりの平均治療費(月額4539円)を同期間を通じて認めるのが相当というべきである。
     算定式 4539円×12か月×21.3092(中間利息控除のためのライプニッツ計数)=116万669円
  (5) 慰謝料について
   ① 傷害慰謝料について (440万円)
     本件事故日から症状固定日までの間の原告の入院期間は合計420日であり,通院期間は合計803日間である。
     原告の受傷は,右房穿孔,心タンポナーデ,胸骨骨折等といった極めて重篤な内容のものであり,その部位や程度からしても,仮に手術が奏功しなかったならば原告が命を落としたとしてもおかしくない程深刻なものであったこと,原告は困難で著しい苦痛を伴う手術を数度も受けなければならず,手術後も相当長期に渡って身動きすらままならぬ状態で入院生活を送ることを我慢しなければならなかったものであり,本件事故による過酷な外傷体験はもとより,その後の治療の過程においても肉体的,精神的にひとかたならぬ苦痛を被っていたものであることが容易に推認される。
     したがって,本件原告に対する傷害慰謝料を考慮するに際しては,それら事情は増額事由として斟酌されるべきである。
     それら事情をも含めて本件証拠に表れた諸般の事情を考察すれば,原告に対する傷害慰謝料の額は440万円とするのが相当である。
   ② 後遺障害慰謝料について (1800万円)
     前掲のとおり,原告の後遺障害の程度については,自賠法所定の障害等級(併合)4級と認定されている。しかし,腹部の瘢痕については,女子の外貌に醜状を残すものとの対象外とされ,後遺障害認定の対象とされていない。
     しかしながら,前記のとおり,原告ののど元には外部からはっきり見える傷が瘢痕として残されているから,これを人目から隠そうと思えば襟元の詰まった衣服等によって傷を覆い隠さざるを得ない。
     また,原告の胸部から下腹部にかけて縦走する傷痕はV字形状に窪んでえぐれ,臍や腹部はでこぼこした様相を呈しており,仮にも通常程度の感受性のある女性がこのような傷を負わされたとするならば,それが誰であっても自分の体を見るたびに精神的苦痛を感じずにはいられないであろうと思わせる程に痛ましい状態であると受けとめることができよう。
     それら事情に鑑みる限り,本件原告の傷痕の部位は顔貌そのものではないとしても,顔貌の醜状痕に準じるものと評価されるべきものであって,慰謝料算定に際して相応に斟酌されるべきである。
     そのような事情を踏まえると,本件原告の後遺障害に対する慰謝料の額については,後遺障害等級第4級に対する慰謝料の額(1670万円)に加算し,合計1800万円を認めるのが相当というべきである。
  (6) 休業損害について (後掲①及び②の合計3392万7162円)
    原告は,本件事故当時家庭の主婦であったことから,休業損害算定のための基礎として,平成6年賃金センサス第1巻第1表産業計,企業規模計,学歴計,女子労働者35歳平均賃金(361万4000円)を採用した上,治療の経緯,経過に鑑みて,次のとおりと算定する。
    ① 休業割合100パーセントとして認定すべき期間(合計1318日)
     ア 平成6年3月21日から同9年10月11日(1301日)
     イ 平成11年9月27日から同月28日(2日入院)
     ウ 平成12年2月25日から同月28日(4日入院)
     エ 平成12年12月4日から同月10日(7日入院)
     オ 平成15年7月22日から同月25日(4日入院)
       算定式 361万4000円÷365=9901円(日額)
       9901円×1318=1304万9518円
    ② 休業割合を92パーセントとして認定すべき期間
       平成9年10月12日以降同16年1月20日までの間(但し,上記イないしオ記載の日数を除く。)の合計2292日間
       平成9年(81日)
       平成10年,11年(各365日)
       平成12年(366日)
       平成13ないし15年(各365日)
       平成16年(20日)
      算定式 9901円×2292日×0.92=2087万7644円
  (7) 逸失利益について (4687万6444円)
   ① 前記のとおり,原告については,平成16年1月20日症状固定,自賠法による後遺障害等級(併合)4級と認定されている。そこで,本件原告の後遺障害逸失利益の算定は,症状固定時である平成16年賃金センサス第1巻第1表産業計,企業規模計,学歴計,女子労働者45歳平均賃金(387万900円)を基礎とし,労働能力喪失割合を92パーセント,労働能力の喪失期間を22年(対応ライプニッツ計数13.163)としてなされるのが相当というべきである。
    算定式 387万900円×0.92×13.163=4687万6444円
   ② 逸失利益に関する遅延損害金の始期について
     被告は,本件事故日から症状固定日まで10年以上を経過している本件においては,後遺障害逸失利益の中間利息の控除は症状固定時ではなく,事故時を基準として行われるべきである旨主張している。確かに,裁判例の中にはいわゆる事故時説を前提として事故時から前記中間利息の控除をしている例もあるが,本件事案において事故時説を採用しなければならないだけの事由は見あたらないというべきである。
     したがって,遅延損害金についての被告の主張は採用しない。
  (8) 父母がAを育てた扶養料について (112万8000円)
    前掲証拠によれば,原告方は原告と夫及び娘Aの3人家族であり,Aは,本件事故当時は黒石市内の小学校に通う児童であったところ,母である原告や父の本件事故による入院の結果,Aの生活の面倒を見る者がいなくなってしまったことから,秋田県内にある原告の父母方に預けられ,両親と再び同居できるようになるまでの間,祖父母方で養育,監護せざるを得なくなったものであることが認められるところ,本件証拠に窺われる同期間中の状況(Aの日常生活の面倒を見たほか,県外の小学校への転校手続や黒石市から秋田までのAの生活用品の引取,原告の入院先までの送迎の面倒見等を要していること)からすれば,当時まだ小学生であったAの養育監護をすることは親族の手伝い程度のものにはとどまらず,時間や肉体的疲労はもとより,金銭的にも相当な負担を要したであろうことが容易に推認され,仮に原告の父母らの助けが借りられず,施設その他にAの養育監護を依頼しなければならなくなっていたとすれば,相当多額の費用を要したであろうと解される。
    そのような事情を勘案すれば,原告の両親によるAの養育監護の費用は,原告に対する休業損害とは別途認められるべきであり,本件については,その期間(平成6年3月24日から同7年4月3日までの合計376日間)を通じて日額3000円の範囲内で認めるのが相当というべきである。
    算定式 3000円×376日=112万8000円
  (9) 弁護士費用について (720万円)
    原告の損害のうち,被告の負担に帰すべき原告の弁護士費用については,前掲損害の合計額(1億802万4895円)から既払金500万円を控除した残額の約7パーセント相当程度である720万円を認めるのが相当である。
 3 以上の次第であるから,本件原告の請求については,前記認定額の合計1億1022万4895円の限度で理由があるものと認める。
第4 結論
  したがって,本件原告の請求は主文掲記の限度で理由がある。
   よって,主文のとおり判決する。
    仙台地方裁判所第3民事部
           裁判官  伊澤文子

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