車を運転していたところ、横断歩道でもないところで、歩道に停まっていた車の陰から急に人が飛び出してきました。私は急ブレーキを踏み、接触することは免れたのですが、相手は転んだ拍子に手を骨折してしまいました。相手にも落ち度はあると思うのですが、治療費等損害の全額を私が負担しなければならないのでしょうか。

過失相殺され、相手の過失分が損害から減額されます。
まず、過失相殺とは、交通事故における被害者に過失があった場合、その分を加害者が責任を負うべき損害から減額しようとする制度です。たとえば、被害者が負った損害が1,000万円であるが、被害者の過失が3割認められた場合、加害者が被害者に対して賠償すべき額は、1,000万円×(1-0.3)=700万円 ということになります。
過失相殺における過失とは、「被害者の社会生活上の落ち度ないし不注意を含む被害者側の諸事情である」(最判昭和39年6月24日)とされています。要するに被害者の落ち度や不注意のことであり、今回の事案における、横断歩道ではないところで急に車道に飛び出す行為は、落ち度にあたると思われます(但し具体的状況によっては、誰かに車道に突き飛ばされてしまった、など過失とは認められない場合もあります)。
本来過失相殺というのは、裁判所が個々の事案に応じて、過失の有無、その割合を自由に認定できるのですが、交通事故のように同種の事故態様が頻繁に繰り返されるものについては、類似の事件について、裁判所や裁判官ごとにその判断に大きな差があることは良くないだろう、との考えから、一定の過失相殺基準が公表されています。それが別冊判例タイムズ16号、いわゆる「赤い本」とか「青本」とか呼ばれている本で、事故を類型化し、それぞれにつき基本過失とそれに対する修正要素を示しています。すべてを紹介するときりがなく、またここに事件ごとさまざまな要素で修正が加えられるので、弁護士に相談し、具体的に自らの事故について聞いてみることをお勧めします。
ちなみに、自賠責保険実務においては、自動車事故被害者の保護・救済の観点から、大量の事案を公正・迅速に処理するために過失相殺が問題となる場面について、下記表のように処理しています。
被害者の過失割合が7割未満の場合には、減額割合ですが、減額なしとなります。被害者の過失割合が7割以上8割未満の場合には2割減額となります。被害者の過失割合が8割以上9割未満の場合には、3割減額となります。被害者の過失割合が9割以上10割未満の場合には、5割減額となります。
なお、後遺障害及び死亡事故を除いた、傷害による損害が20万円未満の場合は過失相殺による減額は行わず、減額により20万円以下となる場合には20万円としています。
また、各自賠責保険引受会社または各共済の過失割合の認定に不服がある場合には、自賠責保険会社に対して異議申し立てをすること、または(財)自賠責保険・共済紛争処理機構に対して紛争処理の申請をすることができます。
この特徴は、被害者の立場から見ると、自らに7割以上の過失がない場合や、そもそも損害が20万円以下の場合などには全額がこれにより払われること、また7割以上過失があっても、100%自らの過失でない限りは部分的に損害分が支払われることにあります。

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