私の夫は、交差点を通行中、信号無視をした自動車にはねられて重傷を負い、病院に緊急搬送されました。ところが、病院側が救急措置を誤ったため、後遺症が残ることになってしまいました。このように、損害の発生について責任を負う者が複数あると考えられる場合、それぞれの加害者に対しどれだけの損害の賠償を求めることができるのでしょうか。

民法715条は、複数の者による不法行為(民法709条)が重なりあって損害が発生したといえる場合、被害者は、各加害者に対し、それぞれ発生した損害の全部について賠償を求めることができるとしています。これを共同不法行為といって、被害者の保護を目的とした制度です。ご相談の件でも、運転者の信号無視と病院の医療過誤が重なり合って旦那様に後遺症が発生したといえるのであれば、運転者と病院のどちらに対しても、後遺症によって被る損害(介護費用、働けなくなったことにより減少した収入、慰謝料など)の全部について賠償請求することができます(ただし、どちらかから損害の全部について賠償を受ければ、他方に対してそれ以上賠償を求めることはできなくなるので、二重取りができるわけではありません。つまり、両者に請求できる賠償の合計額は発生した損害の限度に限られます)。
これに対し、交通事故による傷害が回復しつつある段階で起きた医療ミスで後遺症が発生した場合のように、後遺症の発生がもっぱら病院側のミスによるもので、交通事故による傷害とは関係ないと評価される場合には、共同不法行為は成立しません。また、病院側の過失が、身体に対する傷害である交通事故とは全く異質な説明義務違反であった場合など、複数の不法行為が一体となって被害者に損害を生じさせたとはいいにくい場合にも、共同不法行為の成立は否定されます(客観的関連共同性説)。この場合は、それぞれの不法行為者が生じさせたと考えられる損害の限度で賠償請求できるにとどまり、各加害者に対し損害の全部について賠償を求めることはできません。
ただし、複数の不法行為が重なり合って損害が発生したといえるのか、共同不法行為が成立するか否かは、事案によっては相当判断が微妙なケースもあり、専門家でも見解が分かれることがあります。

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