外国人が交通事故に遭った場合,後遺障害による逸失利益については,どのように考えればよいですか。

後遺障害による逸失利益が生じることについては,日本人の場合と変わりません。その一方で,外国人の方の場合は,在留期限が来ると母国などに帰国する可能性があるので,基礎収入について,どの国の賃金を基準として,どの程度の期間の収入を算定すべきかが問題となります。これについて,裁判所は,「我が国における就労可能期間は,来日目的,事故の時点における本人の意思,在留資格の有無,在留資格の内容,在留期間,在留期間更新の実績及び蓋然性,就労資格の有無,勤労の態度等の事実的及び規範的な諸要素を考慮して,これを認定するのが相当である。」と判示しています(最判平成9年1月28日民集51巻1号78頁)。
以下では,具体的な例を挙げてご説明します。
①永住者等の在留資格を持っている場合
「一般永住者」「特別永住者」「日本人の配偶者等」「定住者」などの資格を持っている場合は,日本での在留活動に制限がないので,日本人と同じように考えて構いません。
②就労可能な在留資格を持っている場合
いわゆる就労ビザといわれる「投資・経営」「法律・会計業務」「医療」「研究」「教育」「技術」「人文知識・国際業務」「企業内転勤」「興行」「技能」「技能実習」等の在留資格を持っていた場合は,日本で得ていた収入を基礎とすることができます。ただし,労働能力喪失期間が在留期間を超える場合には,在留期間が更新される可能性があることを立証する必要があります。特に,滞在期間が短い「興行」ビザや,帰国して習得した技能を母国の発展のために生かすことが前提の「技能実習」ビザの場合は,在留期間が更新される可能性について,運用状況に応じた立証が必要になることもあります。
③就労可能な在留資格を持っておらず,実際に日本で就労していなかった場合
「留学」「観光」「商用」などの在留資格を持っていた場合は,日本で働くことができない以上,本国での収入額を基準として算定することになります。ただし,「留学」ビザの場合は,1週間に28時間の資格外活動(アルバイト)を行うことが許されていますので,これによって得ていた収入を基礎できる場合があります。
④就労可能な在留資格を持っていなかったが,実際には不法就労していた場合
これは,もともと就労資格がないのに就労していた場合や,就労資格はあったのに在留期間経過後も就労していた場合(不法残留,オーバーステイ)を指します。この場合,違法な就労によって得ていた収入を基礎とすることには問題があるという意見もありますが,裁判所は,外国人が実際に就労して収入を得ていたことを重視して,日本における現実の収入額を基礎としている例が多いと思われます。ただし,その外国人が強制退去になる可能性があることから,就労可能期間を3年程度とする傾向にあります。
⑤密入国している場合
この場合,密入国の違法性が極めて高いことから,日本の収入額を基礎とすることには問題があるという意見もありますが,上記④と同じように,事故後3年間に限って日本での収入を基礎とする扱いが一般的であると思われます。

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